1 ベイズ統計学の初歩的な考え方

 本文では,これまでの頻度主義統計学(frequentist statistics)もしくはゼロ仮説有意性検定(NHSTP)に対する批判が近年強まっており,その代りにベイズ統計学(Bayesian statistics)への注目が強まっている事に少しだけ触れた。ここでは,ベイズ統計学もしくはベイズ主義の考え方のごく初歩だけを解説する。
 ベイズ統計学は,計量・統計分析のオルタナティヴとして勢力を増しているだけではなく,定性的(質的)研究(Qualitative Analysis)においても関心が高まっていると言える。

1-1 客観確率と主観確率,事前確率と事後確率

1-2 証拠・データによる確率評価の更新(update)

2 頻度論(frequentist)的推定・検定とベイズ統計学

 以下では,ここまで頻度論的(頻度主義的)統計学に基づいて説明して来た統計的検定・推定を,ベイズ統計学(ベイジアン統計学)で解くとどうなるかを簡単に例示してみる。
 今後,Rでベイズ統計学的分析を行う環境としては,RStanが拡大していくと予想するが,RStanを使用可能にするには,rstanパッケイジ以外に,C++コンパイラなどをインストールする必要があったり, RStudioの様なサポートアプリケイションのインストールが強く推奨されたりするので,本書が想定している初学者や本書で学んだ初級者には難易度が高いと思われる。従ってここでは,本書でおおよそRを学習したユーザなら簡単に導入出来る"MCMCpack"パッケイジで例示を行っていく。MCMCpackもこれまではRでベイズ統計的分析を行うのに広く使われてきたものである。

2-1 2群の母平均の差のt検定――ベイズ統計学の基礎の例示

2-2 重回帰分析

2-3 2項ロジスティック回帰

3 RStanによるベイズ統計学的分析

3-1 RとStanによる重回帰分析

3-2 RとStanでWelch検定と同じ分析をベイズで行う

3-3 RとStanでマルチレヴェル